よき友・うま酒・商売繁盛 blog

--2008年5月記事--

 この週末に夫婦で久しぶりの草津温泉に入ってきた。
 露天風呂で汗を流し、浴衣がけで湯畑の湯煙を浴び、みやげ屋をのぞき、湯もみ踊りを見物し、宿に戻って色とりどりの夕食をとり、翌日は賽の河原から片岡鶴太郎美術館に回って帰る。どこにでもあるような安心・定番のコース。これが温泉の旅(たった一泊だけど)の満足感を一応満たしてくれる。でも、ちぃーとばかし、マンネリの感がある。
  いつも感じることだが、温泉というのはプランを立てたり、行くまでの道筋が一番ウキウキするのに、いざ旅館に着いてからはなぜかウキウキ感がしぼんでいく。これは筆者だけか? そうではない、と思う。たぶん温泉に行く人の温泉に求める"夢""欲求"と、現実の満足度が乖離しているからではないか。接客サービスの悪さにでくわした時など、夢は着実にしぼんでいく。

 もっとも、温泉地自体、いま大変らしいのだ。
草津は日本三大温泉の一つだけあって、いつもと変わらぬ温泉客・観光客の多さだった。しかし、もう一つの三大温泉「熱海」は昔の盛況さはすっかり影をひそめてしまって、ひところは旅館やホテルがどんどん潰れた。残る「別府」も黒川温泉など新興人気温泉におされていると聞く。
 全国的にみても温泉地の環境は大きく変わっているようで、多くの旅館・ホテルが経営難に陥っている。大企業・団体の寮や保養所に衣替えをするケースもふえている。
近年は"温泉ブーム"といいながら、じっくりと腰を落ち着けて"逗留"するような客は減り続けている。また、企業や組合などの団体客も減っている。温泉で忘年会、新年会、研修会、というのも少なくなった。小社(流通情報企画)も10年くらい前まで、よく熱海で酒販店の勉強会を開いたものだが、いまは企画を立てることもなくなった(立てても集まらないし)。
 その一方で、日帰りの観光バスツアーが全盛だ。中高年の主婦層が主役で、"○○採り放題""○○食べ放題"といった目玉企画が人気を呼んでいる。温泉に寄っても、温泉には入るが泊まらないで帰ってしまう。これでは温泉に金が落ちない。温泉地の旅館はいまや斜陽産業化しつつあるのかもしれない。

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shujinkou no kai 2.jpg 5月11日(日)、東京・信濃町の明治記念館で恒例の「酒人好の会」が開かれ、参加してきた。
 主催は東京・町田市の酒専門店「酒舗まさるや」。経営者の園部松男さんは本格焼酎ブームの仕掛け人の一人として有名だ。

 あるテレビ番組で"焼酎ハンター"と紹介されていたのをご記憶の方もいるだろう。それくらい九州から全国各地の個性派焼酎を発掘してきた。

 筆者が強く記憶しているのは、青島の名産「青酎」。生産者別のボトルが棚に並んでいて、それぞれ味が微妙に異なっているのだ。
 しかし、園部さんの原点は日本酒。年季の入った団地の中の小さな商店街の一角で、地酒専門    店として出発し、どんどん品揃えを広げて発展してきた。その発展の象徴が、蔵元とともに酒を楽しむ「酒人好の会」だ。会の名称には、園部さんによれば「貴方とお酒が主人公」という意味がこめられている。

shujinkou no kai.jpg 年々規模が大きくなって、第17回目の今回は参加蔵元21社、来場者は募集300人のところかなりオーバーの360人。

 一般の日本酒ファンに飲食店関係者がメイン。これでも断った結果というから、日本酒の不振はどこの話かと思えてくる。着席式のテーブルを囲んだ出品酒コーナーには、1蔵5品ずつ、計105の酒が出番を待っている。

 開会は5時。司会を務めるのは、酒舗まさるやの後継者・長男の園部将(まさる)さんである。ちなみに将さんは写真(下の写真、中央の人)に見るように、会の間中、各テーブルを丹念にまわって接待。お客と談笑していた。「もう店は息子にまかせてあるから」という園部さんは余裕の表情だ。

 さて、園部さんの主宰者挨拶の後に、今回は初の試みで、蔵元を代表して「黒龍」(福井)の水野直人社長がミニ講演を行なった。

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  鈴傳 店前ノレン.jpg 「虎ノ門 鈴傳」の続きです。52年に及ぶ歴史に幕を引く最後の4月25日。この日もまた、未練がましく行ってきた。ふだんロクに行かないで、なくなると聞くとあわてて騒ぐ。道頓堀の「くいだおれ」閉店を"惜しむ"マスコミや半可通のようで、いささかお恥ずかしい。
ということで今回も一人では行きにくくてお誘いしたのは、虎ノ門に2つの名門居酒屋ありとうたわれたもう一方の旗頭、「虎ノ門 升本」の篠原社長。本来なら商売敵だが、篠原社長は鈴傳ファンでしょっちゅう通っていると聞く。店の人とも顔なじみだ。

今回は少し新進の銘柄に挑戦して、やはりサッと引き上げることにした。この日も開店の5時には全員肩を寄せ合う相席状態で、隣には若い男性が二人。てっきり連れかと思っていたが、話すとアカの他人。昔むかし、地酒ブーム、吟醸酒フィーバーの頃はこんな若者がたくさん名酒居酒屋を徘徊していたものだった。まだ生き残っていたかァ、つい懐かしさがこみあげる。
前回もふれたが本年80歳の鈴傳・磯野元昭会長はとても面倒見のいい方で、とくに若くて意欲的な蔵元を引き上げる方だった。象徴的なのは今をときめく「十四代」蔵元・高木顕統さんの初めての酒を売り出したことだろう。以来、十四代を飲みたさにこの店に通う客が少なくない。筆者もここで高木さんにお会いして同席させてもらったことがある。蔵元と気軽に出会える店、それも魅力の一つである。

 そんなことで壁に貼り出された40数種の酒メニューは一見の価値あり。といっても、もう二度と見ることはできない。そこで、せっせとメモをしてきたので、その全貌を紹介しよう。鈴傳さん、お許しを。
 壁のメニュー、銘柄・商品名は、行くたびに一つか二つ、必ず入れ替わっている。入れ替わらないものもある。つまり、その時その時の人気商品や新進銘柄、トレンドの指標といえる。一方、確固たる定番として揺るがぬ酒もある。その組み合わせの広さと奥行きは絶妙、地酒のこれまでの足取りと今の酒質の広がりをすべてカバーしているのではないかとさえ思われる。

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