どうやら地方の日本酒蔵は世代交代の時期を迎えているのかもしれない。30歳代の若い蔵元が次々と東京市場に名乗りを上げているような気がする。高度成長や地酒ブームの恩恵に浴した親世代に対して、今は日本酒不遇時代にあるといってよい。
そんな中でも若手蔵元は未来を見つめながら丹精こめた作品、自慢の酒をPRする。これが応援しないでいられようか。
若手蔵元11人が結集して試飲会
9月14日(日)、東京・渋谷で開催された日本酒イベント「次世代の日本酒を醸せ!第2回 若手の夜明け2008 in こまばエミナース」はまさに若手蔵元の作品展示・試飲会であった。長野県の伴野酒造常務・伴野貴之さんをはじめとする11蔵の若手蔵元が共同開催したイベントである。
午後1時から3時30分までの間に来場した酒販店・飲食店・業界関係者に日本酒大好き人間たち約300名に及び、その主力がやはり30代中心の若手とあって、各試飲コーナーとも熱気に溢れていた。
出品銘柄と生産者を以下、簡単に紹介しよう。
「陸奥八仙」(青森・八戸酒造)
「一白水成」(秋田・福禄寿酒造)
「日輪田 萩の鶴」(宮城・萩野酒造)
「山和 わしが國」(宮城・山和酒造店)
「楯野川」(山形・楯の川酒造)
「浅間山」(群馬・浅間酒造)
「大盃」(群馬・牧野酒造)
「町田酒造」(群馬・町田酒造店)
「澤の花」(長野・伴野酒造)
「白隠正宗」(静岡・高嶋酒造)
「紀土」(和歌山・平和酒造)
すでに注目を集めつつある銘柄もあるが、大半は筆者も初めて試す銘柄である。なお、「町田酒造」は間違いではない。これが酒名なのだ。また、「紀土」は"キッド"と読む。若手でなければ考えつかない大胆なネーミング!!
全体を見て、いくつか試飲しての所感を記すと、まず各蔵とも出品酒は純米・純吟・純米大吟の純米系定番商品で共通していた。何社かはひやおろし・秋あがりの季節ものを加えていたが、近年話題の無濾過生原酒や山廃はごく一部見られた程度だった。
酒質はいずれもレベルが高く、香りは抑え目で味がしっかりのったタイプに、濃醇なインパクトを印象づけるタイプもあり、家庭向きではなく飲食店向きの酒である。1800mlの純吟クラスで3000円から3500円の価格が多かった。その中では「紀土」の純米=1890円、純吟=2500円がどちらも"うまくて買いやすい酒"と思えた。
いずれにしても、この11銘柄の中から近い将来、東京市場を席捲する人気酒が生まれることを期待したい。
"汚染米"問題について
話は変わるが、目下大問題になっている"事故米""汚染米"の不正転売について一言。
三笠フーズが実行して、ノー水省が見逃してきたために、わが酒類業界においても現時点で焼酎数社と日本酒1社が多大な損害をうけている。皆さんの店でも大なり小なりの影響をうけていることだろう。
いま一番の問題は、消費者の不安心理・疑心暗鬼、そして不信感だ。それが焼酎から酒類全体へ広がることで、そうでなくても進んでいる"酒離れ"傾向を促進することになりかねない。
しかし、とりあえずは酒販店1店1店の"客離れ"への対処だ。来店客やお得意先の信頼感をつなぎとめる行動がいま必要ではないかと考える。"汚染"がごく限られた低価格型の商品であること、自店の酒は安全・安心であることなど、小さなメッセージ一つでもいいから情報発信したらどうかと提案したい。
