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"蔵の街"川越に酒蔵「鏡山」・醤油蔵「はつかり」を訪ねて

2008年12月11日


川越・蔵の街ストリート250.jpg 首都圏の方なら訪れたことがあるかもしれないが、埼玉県川越市は"蔵の街"として有名になって、いまや県内随一の観光地になっている。メインストリートには古い商家や蔵造りの家並みが渋く美しく続き、昔"小江戸"と呼ばれた面影が十分うかがえる。
 もっとも、よく見ると"旧家風"にデザインされた名産品店やクロネコ宅急便のセンターなども混じっていて、地元が町並み保存に力を入れていることがわかる。そのかいあって週末ともなると観光 川越・鏡山・五十嵐氏説明風景250.jpg客がわんさか押し寄せてくる。来る2009年のNHK朝の連ドラの舞台にもなるというので、いっそう賑やかな街になるだろう。

 そんな観光客の賑わいを避けたウィークデーに「21世紀酒屋塾」の若手経営者・後継者諸君と、蔵見学にでかけた。昨年、この地に生まれたばかりの「小江戸鏡山酒造」である。銘柄は「鏡山」。もともと川越の名酒として知られた酒名だが、廃業のやむなきにいたったので、県内飯能市の「天覧山」五十嵐酒造が酒名だけを継いで、新たにごく小さな酒蔵を新設したものだ。  (写真は蔵の街メインストリートと、鏡山の蔵の中を案内する五十嵐昭洋さん)
 「鏡山」の蔵でわれわれを迎えて案内してくれたのは、五十嵐酒造蔵元の次男坊・五十嵐昭洋さん。まだ32歳の若さながら、新蔵の経営にあたっている。

川越・鏡山・仕込タンクにて220.jpg 「小さな蔵なので案内するといってもアッという間に終わりますよ」と屈託なく照れ笑いをもらす昭洋さん。コンクリート打ちっぱなしの小さなビルの1階に、ミニサイズの洗米器・こしき・放冷機などを設置して、2階部分に600klの小型仕込タンクを6本並べている。確かにコンパクトな蔵である。
 それでも1季目の酒から味のよさや話題性で注目された。大半は地元で売れてしまうが、一部はすでに県内・都内のごく限られた専門店に並ぶようになっている。

 造りは10月から翌年4月までの約7カ月。五十嵐さんによれば、造るのはすべて純米以上で、麹歩合を多くした独自の酒を追求していることを強調していた。3本のタンクからもろみを試飲させてもらったが、21日目の純米はさわやかなメロン風味の微香に味のふくらみもあり、あと切れもよかった。(右上写真は仕込タンクのそばで熱心に説明する五十嵐さん。右下は販売コーナーに並ぶ「鏡山」)

川越・鏡山・売り場.jpg 「鏡山」の次は、すぐ隣の「はつかり醤油」の「松本醤油商店」を見学させてもらった。松本社長自ら案内と説明してくれた。ちなみに新生鏡山は、松本醤油商店の松本社長が、蔵の街・川越から酒蔵が一つもなくなっては困ると、蔵を建てて招いてくれたのだ。

 同醤油蔵は鏡山とまったく対照的で創業250年の歴史を誇り、現在の木造の巨大な蔵は「天保蔵」と名乗っているように、天保時代のものだ。太い梁や柱も40本に及ぶ大きな木桶も150年の歳月を刻んできた文化財である。

 松本社長によれば、木桶の竹の箍(たが)を60年に1度かけ替えなければならないが、今では1本あたり100万円もかかるという。これには一同驚きのため息。もちろん造りも伝統製法を貫いていて、搾りの工程で"きき醤油"させてもらったが、その甘い風味、 川越・はつかり醤油・松本社長説明風景220.jpg ろやかさには一同また感嘆の声をあげたのであった。

 その後、夕刻まで蔵ストリートを観光し、昔懐かしい駄菓子屋ばかりの菓子屋横丁で土産を買い、川越の名店、芋懐石料理「いも膳」で五十嵐さんを交えた懇親会に。もちろん酒は「鏡山」を目一杯堪能させてもらった。"蔵の街"を堪能した一日でもあった。
(「天保蔵」内で、はつかり醤油の説明をしてくれる松本社長)

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