日本酒復活は"秋田の酒"から!?
「秋田の酒きき酒会」に700人!!
日本酒復活は秋田の酒から・・そんな期待を抱かせるような熱気であった。
3月3日、毎年春恒例になった秋田県酒造協同組合主催のイベント"美酒王国 秋田"が、東京・JR品川駅前のホテルパシフィック東京で開催された。昨年同様の2部構成だ。昼の第1部(13:30-17:00)は、酒販店・飲食店など業界向けの「秋田の酒きき酒会」(右写真)。夜の第2部
(18:30-20:30)は、料理とお酒を賞味する一般向けの「秋田の酒を楽しむ会」(右下写真2点)である。
出展した蔵元は全26銘柄にのぼり、それぞれが自慢の新酒などを試飲に供した。とくに酒販のプロの注目を集めたのは、酒米「秋田こまち」に、酵母の「秋田酵母No.12」「秋田酵母No.15」などで仕込んだ県独自の日本酒。若手が台頭してきたこともあって、来場者は昨年を上回る700人近くに達した。
夜の「楽しむ会」も650席が予約で満席。主催者によれば、間近になって急増した予約申込みを断るのに一苦労したと
のことで、秋田酒イベントの人気高騰ぶりが伝わってくる。朝のTVニュース解説で
有名な橋本五郎氏(秋田生まれの読売新聞特別編集委員)が乾杯の音頭をとったり、"なまはげ"や"ミス秋田こまち"、さらに若手蔵元の"酒屋唄"披露などが、宴を楽しく盛り上げた。
中身濃いP・ディスカッション
きき酒会に先立って13:00から1時間、これも恒例のパネル・ディスカッションが開かれた。タイトルは「こうすりゃ売れるよ!! 日本酒の元気復活」とわかりやすくインパクト満点。100席用意した会場は立ち見が出るくらいの盛況ぶりだ(下写真2点)。
今回はパネラーとして、酒販店を代表して東京・町田市の「酒舗まさるや」園部松男氏(秋田出身である)、飲食店を代表して「夢酒グループ」プロデューサー・森隆氏、そして司会もかねて「ジャポンシュ・デザイン」コーディネーターの山本洋子氏という、いずれ劣らぬ酒のエキスパート3氏が登壇した。
山本氏の巧みな司会によってタイトルを裏切らない、中身の濃い実践的なディスカッションが続いた。その一端のみ紹介しよう。
山本氏は日本酒販売の決め手の一つとして「日本酒の見せ方を変えること」が必要ではないかと提起した。それに応えて森氏の発言。"ニューヨークでSAKEを飲んだら・・"をコンセプトにした最近店「W」の店内に、シャンパンタワーならぬ日本酒の"マス"のタワーを設置したこと、辛口酒のロックを"サムライロック"と名づけて出していることなどを披露した。おもしろいのはメニューの特定名称にワインの"クラス"用語をあてはめていることだ。純米酒は"トラディショナル"、吟醸・純米吟醸は"プルミエクリュ"、大吟は"グランクリュ"というのだそうだ。
園部氏のお店「まさるや」は"見せる"ことでは右に出るものがいないといっていい。1800に及ぶ商品すべてに手書きのプライスカードやPOPを添付している。さらに園部氏は一番大切にしているのは「季節感」であるとして、ある蔵と開発したオリジナル商品には、冬は"雪だるま"、夏は"くわがた"など四季を象徴する絵柄のラベルを貼っている。
パネラー2氏の販売促進にかけた独創的な工夫の数々は、とても1時間で紹介しきれるものではないが、披露されたいくつかの実例から、今はいい酒をただ揃えれば売れるものではないことだけは伝わったのではないかと思う。
考えてみればこのパネル・ディスカッション自体が、きき酒会の販促=集客の工夫そのものだといえる。秋田県のイベントが年々集客をふやしているのも、組合に結集する蔵元の熱意の賜物といっていい。願わくばそれが"美酒王国 秋田"再興への道を切りひらいてほしいものだ。
