学生諸君に聞いた・・
日本酒がもっと飲まれるために、なにが必要?
6.8 "学生日本酒の会"&蔵元のガチンコ意見交換会
リポート トータル飲料コーディネーター 友田晶子
日本酒消費量の右肩下がりに歯止めがかからない。日本酒のきき酒フェアには、あれだけお客さんが集まるのに・・・。家飲み量が減ったのか、外飲み量が減ったのか・・・。景気が悪いせいか。いや、若い人が日本酒を飲まなくなったせいだ。そうおっしゃる方も少なくない。
実は、日本酒好きの学生が独自に発足した「学生日本酒の会」という会がある。この会の中心的な会員諸君を、蔵元の勉強会「日本酒総合研究会」が招いて、今の日本酒に思うこと、これからの期待などをテーマに意見交換会を開いた。その模様をレポートしよう。
6月8日当日、集まってくれた学生諸君(右上写真)は、会の発起人であり現在顧問の田中智君(中央大学)、現会長の松本雅弘君(中央大学)はじめとした8名(うちブログをやっているOBが1名)。さらに、農大出身で日本酒関係のNPO法人設立をめざ
すジャーナリスト1名。
蔵元側の参加者(右下写真)は、「まんさくの花」(秋田・佐藤社長)、「東光」(山形・岡田氏)、「郷乃誉」(茨城・須藤社長)、「鶴齢」(新潟・目崎氏)、「千代むすび」(鳥取・村松常務)、「李白」(島根・田中社長)、「七田」(佐賀・七田社長)の7社に、オブザーバー参加として「鏡山」(埼玉・五十嵐部長)。
まず冒頭に創立から現在の活動までをうかがった。
田中「創立は2008年。福島県会津喜多方出身の僕が日本酒好きで、日本酒の会を立ち上げました。最初は20人くらい。mixiを媒体としてコミュニティをつくり、1000円で飲み放題のオフ会をやったりしました。現在会員60人~70人。運営は5名です。まずは、日本酒導入のきっかけづくりと考えています」
松本「僕も福島県いわきの出身です。2009年の活動としては、5月に東京小澤酒造見学、7月に日本酒の会を開催し、酒造組合中央会で講演をさせていただきました。そのほか、日本酒フェアのお手伝いや、中央大学の学祭で"日本酒バー"を出展したり、日本酒のクリスマスパーティを開催しました」
今かかえている課題は?
松本「まず年齢です。当然ながら会員になれるのは20歳以上で、4年で卒業までに2年間の会員期間があり、その後OBとなり、OB会もあります。が、3年生、4年生になると、就職活動で忙しく、活動に参加しにくくなるんです。なにしろ期間が短いのが問題」
「学生」らしい自由で規制のない楽しみ方や活動ができる反面、期間が決まっている「学生」ならではの難しさがあるのだろう。
続いて、出席者それぞれに、自己紹介、プラス日本酒への思いを語ってもらった。日本酒の問題点がチラチラ垣間見えるようで面白い。
学生A(女性)「大学に入って、いろんな飲食店に行くようになり、和食、とくにお刺身に合わせて飲む日本酒が好きになりました。一人暮らしで、家でも飲みます。ビールよりは日本酒1升瓶を買う。なぜなら安く済むので。昔ながらの日本酒を扱っているお酒屋さんで買います」
学生B(男性)「松本さんの紹介で日本酒を飲むようになりました。きっかけは『上善水如』です。でも、日本酒には飲みにくいイメージがあります」
学生C(男性)「埼玉出身です。とにかく日本酒、好きです。きっかけは秩父の夜祭で飲んだ『ワンカップ大関』。むちゃくちゃ美味しかった。その後『鏡山』も好きになり、『澤乃井』もさらりとして好きです。今はいろんな銘柄を試している段階」
学生D(男性)「日本酒は正直、フツー。まずビールを飲みます。アクセントに日本酒もいいかなと。率先して日本酒は飲まないです」
学生E(女性)「家族が晩酌しますので、普通に家で飲みます。父の好きな純米吟醸とか。居酒屋では梅サワー。日本酒は、日本酒が好きな人と一緒でないと飲めない。割り勘するのも気がひけるし」
学生F(女性)卒論に日本酒を書きました。もともとは甘くてフルーティーなタイプが好きです」
田中「僕は、会津出身ですが、父は焼酎を飲んでいた。冠婚葬祭で出される日本酒が美味しかった。今でも地元の酒が一番好き。学生としては日本酒は高くて注文できない。たまに通販で買いますが、送料が高いのが困る。いろいろ飲みたいので4合瓶を選びます。1升瓶は割安だとわかっているが、重いし買いにくい」
松本「新会員の入り口は、低アルコール酒ですね。その後、伝統酒に移行させる。最近は、古酒もいいと思う」
田中「入会の勧誘は『いい雰囲気の店で飲める』と誘います(笑)。いい雰囲気の店とは、間接照明があったり、洋楽がかかっていたり、きれいなボトルやきれいなカウンターがある店。量は少なくていいから価格も安くいろいろ楽しめる店。もちろんリーズナブルでないといけない」
そのほか出た意見も紹介しよう。
「体調がいいときは日本酒。肌が赤くなりアトピーになるから」「人と一緒にいるときに飲みたくなる」「おいしい料理があると日本酒がいいと思う」「日本酒は飲むが、銘柄で注文したことはない。とりあえず日本酒といって注文する」「ビールのほうがつまみに合うように思う。たぶん、塩気のあるもの、脂っこいものが好きだから」「支払いは1人2000円から3000円くらい。4000円を超えることはない」
・・・などなど、正直、かつ、日本酒好きの大人が聞くと驚くような答えも返ってきた。
次に、蔵元側からの質問にランダムに答えてもらった回答。日本酒業界にいると気がつかない点を発見できる。
お酒屋さんでの買い方は?
「辛口ですっきりとか、やや甘口とか、スタッフのアドバイスを受けて買う」「知ってる銘柄をいう」「価格とのバランスを気にする」「1升瓶なら電車に乗らないで買える店に行く」「旅行でお土産としてなら720mlを買う」「余裕のあるときはデパートで買うときもあるが、ちゃんと包装してある高級感がいい」
お酒の情報収集は?
「"食楽"や"dancyu"などの雑誌。でも、知名度で選んでしまう、他のものに目が行かなくなってしまう難点も」「逆にメディアの影響はなるべく受けないようにする」「日本酒のイベントで知る」「映画の中で見た銘柄とか印象に残っている」「限定品とか、今だけという商品には、どうもヨワイ」「居酒屋のメニューには左右される」「友人からの口コミ。お酒の銘柄だけだと覚えられないが、つまみと一緒だと不思議に覚えられる」
日本酒のイメージは?
「お酒に健康的イメージはない」「冬場にお燗、のイメージが強い。夏はやっぱりビール」「料飲店に行っても、やはりまずはビールで、はじめから日本酒を飲みたいとは思わない」「とくにイメージがない。酒といえばビール。他はすべて「ビール意外」」
低アルコール酒についてどう思う?
「甘いイメージがあって、飲みたくない」「日本酒は酔いたいときに飲むもの」「低アルコールである必要はない」「薄まっている感じがする」「シャンパンみたいに最初に飲める。勧めやすい印象はある。日本酒の入り口が広くなる。ただ、飲みやすいのと甘いのでびっくりする」
吟醸香について?
「好きじゃない。飽きるから」「高いイメージがある」「好き。あの香りと味は快感になる」「甘い香りが強くて、おかずが浮かばない」「デザートにいいのでは?」
酒好きは、ご飯物を後に食べるが・・。
「学生は、まずご飯を食べてから、酒を飲む人が多い」(大人の酒好きの飲み方とは違う)「お風呂に入って落ち着いてから飲む」「日本酒そのものを味わいたいときは、何も食べないで」
お燗について?
「ただただ熱いイメージ」「外でしか飲んだことがない。家では飲まない」「手段があればやってみたい」「まず冷酒か常温で、味わいを知りたい」「奥深いとは思うが・・・・」「本当は興味ある。飲み比べすると違いがわかるのかも」
日本酒はじめ、他の酒の飲み方は?
「日本酒はそのまま、そのほかの酒は割って飲むイメージ」「日本酒は悪酔いすると聞いたことがあるが、実感はない」「今日は日本酒、明日はワインと決めるときと、あれこれ混ぜての飲むときがある」「デパ地下でお惣菜を買ってきて、いろいろ飲み比べする」「最近ワインも飲む。チリあたりの1,000円~1,500円くらいのもの。ヌーヴォーは知っているし興味もある。チーズが好きだから、ワインを飲みたくなる。刺身とかあんきもなどのつまみなら、やはり日本酒を思い出す」「アルコールの高いものは、酔っ払いたいときに飲む」「人気のハイボール、チャンスがあれば飲みたい」「教授や先生が率先して飲めば、一緒に飲みたいと思う」「学食でも、飲める学校と飲めない学校がある」「日本酒好きの学生は、家庭でも飲む環境で育っているみたいだ」「地元が鹿児島なので、親は焼酎。焼酎と反対の甘い酒が好きだから、ワインを飲むようになった。でも、ワインは酔わない」
専門用語については?
「似通った言葉が多いイメージ」「ちゃんと説明してくれれば納得できる」「かっこいいイメージがある」
"無濾過生原酒"ってなにかわかる?
「よくわからない」「聞いたことある」「知っているが、強すぎるので、さけている」
他に日本酒のイメージなんでも
「ワインは女性を口説くとき、ハイボールも新鮮でカッコイイ、日本酒は仲間同士で飲むイメージ。女性を連想させない」「日本酒は、氷川きよしのイメージ。日本酒のCMで見たいのは、オダギリ・ジョー、キムタク、中田ヒデ、生田斗馬、瑛太、福山雅治など。女性のイメージはない」「味が似すぎていて、よくわからない。いい酒は特に。さらに"にごり"はより似ているのでわからない」「"超辛"はインパクトがある。好きじゃないけど」「"超辛"といっても、あまり辛くない」「ラベルの情報をもっと増やしてほしい」「書いてある味の説明と実際に味わった自分の感覚が違う」「ビールの味はイメージできるけど、日本酒はイメージできない。結局、ラベルで選んでしまう」
以上、今回はリポーターの感想は交えずに、質問と答えのみの紹介としたが、全体に受ける印象は、基本的に日本酒が好き、もしくは興味をもっている人が集まる「学生日本酒の会」ゆえに、伝統的正統派の日本酒やそれにまつわる日本酒文化を、おおむね支持している人が多いように感じる。メーカーや提供側のあがき(?)は、もしかしたら無駄なのか、迎合なのかと考えさせられる場面も何度かあった。
ともあれ、慣れない日本酒用語や難しい質問にも、真摯に、かつ、丁寧に答えてくれた学生日本酒の会の面々。なるほどと納得できることや驚きの感覚を聞くいい機会となった。
課題も多いという同会だが、日本の国酒である「日本酒」(もちろん「焼酎」も)の今後を支えてくれるのは、間違いなく彼ら彼女らの世代だ。飲酒人生の先輩としては、先輩としての責任を忘れず、新しい感覚にも敏感に(自分の若い頃を忘れずに)、良い「酒づき合い」をしたいものだと感じた次第。
今後の会の活躍には、心から期待したい。
